ふるさと納税のメリットは返礼品をもらえることだけでなく「節税」というもう1つのメリットがあります。しかしこの「節税」、自分で申請しなければお金は還付されません。

税金の還付といえば「確定申告」ですが、これには多くの人が難色を示します。なぜなら「確定申告はややこしくて面倒」だからです。

しかしふるさと納税には確定申告不要の「ワンストップ特例制度」があります。今回はこの「ワンストップ特例制度」の特徴や手続き方法、そしてこの制度をより正しく利用する方法まで一気にご紹介いたします。

読み終えるころには「ワンストップ特例制度を利用するか」もしくは「確定申告か」の決断ができると思いますよ!

ふるさと納税のワンストップ特例制度とは?

ワンストップ特例制度とは、「確定申告を行わなくてもふるさと納税の寄付金控除を受けられる」2017年4月にできた制度です。

「ふるさと納税しかしていないのに、あの煩雑な確定申告をするなんてなんだかなあ・・・」と、ふるさと納税に対して二の足を踏んでいた人には朗報ではないでしょうか。

この項ではワンストップ特例制度に適している人の条件や、確定申告との違いについて進めていきます。

ワンストップ特例制度が役に立つ人・立たない人

繰り返しますが、ワンストップ特例制度は「確定申告不要でふるさと納税の控除が受けられる制度」です。

注意していただきたいのは、確定申告がいらないのはあくまで「ふるさと納税」の部分です。つまり、ふるさと納税以外で確定申告の必要がある人にとってはワンストップ特例制度は「無視してよい制度」なんですね。

ワンストップ特例制度が役に立たない人

「2,000万円を超える給与を受け取っている人」「2カ所以上の事業所から給与を受け取っている人」「20万円を超える副収入がある人」はワンストップ特例制度は利用できません。

このほか、

  • 住宅ローン減税の利用1年目の人
  • 年金が400万円以上ある人
  • 民間会社から個人年金を得ている人
  • 個人で事業を行っている人
  • アパート経営等の不動産収入がある人
  • ゴルフ会員権の売買等で所得が発生した人

これに該当する人もワンストップ特例制度は必要ありません。

その理由はもうお分かりですね。これに該当する人は「もともと確定申告が必要な人」。迷わず確定申告一択、となります。

ワンストップ特例制度と確定申告の違い

確定申告 ワンストップ特例制度
手続きの回数 年1回 寄附のたびに必要
制度の利用限度  限度なし 5自治体まで
減税の方法
  • 所得税:翌年5月ごろ還付
  • 住民税:翌年6月から減税開始

所得税減税分+住民税

まとめて翌年6月から開始

向いている人
  • ふるさと納税以外も申告する人
  • ふるさと納税の寄附先が5自治体以上ある人
  • 確定申告の必要がない人(ふるさと納税のほかに申告するものがない人)
  • もともと確定申告や住民税申告をする必要がない人

ワンストップ特例制度「手続きの回数」について

もしあなたが医療費控除やセルフメディケーション税制を利用したいのなら、かならず確定申告が必要です。

確定申告をする機会があるならば、ふるさと納税も一緒に申告したほうがいいです。なぜなら、確定申告1回でその年のふるさと納税の申告が完了するからです。

逆に確定申告の必要がない人は、ワンストップ特例制度は利用する価値があります。ただし、1つの自治体ごとに申請が必要ですので、若干の手間と送料がその都度かかります。

ワンストップ特例制度「利用回数の限度」について

寄附した自治体が1年間で「5自治体まで」であればワンストップ特例制度が利用できます。

もし5つ以上の自治体に寄附をしてしまった場合は、6自治体以降は確定申告での手続きが必要になります。(※6回以上ふるさと納税を行っても5自治体以内であればOKです。例えば宮城県に2回の場合は1自治体です)。

確定申告は自治体数の上限はありません。6自治体以上の寄附を行った場合は迷わず確定申告を。

ワンストップ特例制度「還付方法の違い」について

確定申告とワンストップ特例制度では、減税分の還付方法が異なります

確定申告では申告後に「所得税」が現金で還付されますが、ワンストップの場合は所得税減税分が住民税減税分と合算され、翌年の減税分として還付されます。

そのためワンストップ特例制度では現金が振り込まれることはありません。

いったんまとめ:ワンストップ特例制度が有効な人はこんな人!

ここまででワンストップ特例制度が使えない人、そして確定申告の違いを洗い出しました。その結果、ワンストップ特例制度が有効に利用できるのは、以下の2つを満たす人となります。

  • 寄付を行った年の所得について確定申告をする必要が無い人
  • 1年間のふるさと納税納付先自治体が5つまでの人

これからふるさと納税をする人も、今年から始めたという人も必ずなんらかの申告が必要です。

今年確定申告が必要なものはないか・今年寄附した自治体数は結局いくつになったのか、毎年きちんと管理しておくことが大切です

ワンストップ特例制度の申請方法は難しい?

ワンストップ特例制度の申請は、自治体の数だけ行わなければなりませんが、手続きはけっして煩雑なものではありません。年末調整のようにややこしい計算も必要なければ、確定申告のようなマニュアルも必要ありません。

必要な書類をまとめて「各自治体」に送るだけ、非常にシンプルです。

ワンストップ特例制度の必要書類

  • 送付用の封筒・切手(1自治体へ複数寄付した場合は、まとめて送付可能です)
  • ワンストップ特例制度の申請用紙
  • マイナンバー確認書類および本人確認書類

本人確認書類は マイナンバー確認用書類と、本人確認書類の2つが必要です。

マイナンバー

および

本人確認書類

 マイナンバーカード(両面コピー)
マイナンバーの

確認書類

  • マイナンバー通知カード
  • マインバー記載の住民票の写し のいずれかのコピー
本人確認書類
  • 運転免許証
  • パスポート
  • 身体障害者手帳
  • 精神障害者保健福祉手帳
  • 療育手帳
  • 在留カード
  • 特別永住者証明書 のいずれかのコピー

マイナンバーカードを持っている人は表面でマイナンバー、裏面で本人確認ができるので両面コピー1枚でOKです。

マイナンバーカードを持っていない場合は、マイナンバー通知所のコピーと本人確認書類を合わせて送付します。複数自治体に寄附したときは、自治体の数だけコピーをとっておきましょう。

ワンストップ特例申請の締切はいつまで?

ワンストップ特例制度の申請期限は、ふるさと納税を行った翌年の1月10日【必着】です。この日までに、不備の無い状態で自治体へ必ず到着するように送りましょう。

不備があった、間に合わなかった場合は受理されません。その場合は自分で確定申告を行うことになります。

ワンストップ特例制度は利用しないといけない?利用したらどんなメリットがある?利用しなくても実質2000円に変わりない?

メリット①確定申告しなくても控除される

ふるさと納税は本来は確定申告手続きが必要です。しかし本来確定申告を必要としない給与所得者にとってはデメリットにしかならないため、平成27年4月確定申告不要の「ワンストップ特例制度」が立ち上がりました。

毎年年末調整をしているのに、寄附だけで確定申告が必要とあっては寄付者の数はなかなか増えませんよね。この特例制度ができて以来、給与所得者も気軽に寄附できるメリットとしてワンストップ特例制度は確立しているのです。

メリット②簡単申告なのに、実質2,000円は確定申告と同じ

ワンストップ特例制度を利用しても、確定申告をおこなったときと同様の税額控除を受けられます(端数で若干の差異が生じることはあります)。

ワンストップを利用したからといって控除額が大きく目減りすることはありません。つまり自己負担実質2,000円の恩恵は変わらず受けられるというわけです。

しかし、先にもお伝えしたとおり、控除の形式が異なります。

  • 確定申告:所得税分は現金で還付・住民税分は控除
  • ワンストップ特例制度:所得税分+住民税分が控除

たとえば所得税控除が5,000円で住民税が15,000円場合で比較すると

確定申告:5,000円が振り込まれ、住民税が年間15,000円分減額される

ワンストップ特例制度:5,000円+15,000円=年間2万円が住民税から減額される

このように変わります。

年末調整や確定申告のように「現金の還付」を期待する人は十分に確認した上で利用したい制度です。

ワンストップ特例制度は「利用しなければいけない」決まりはない

ワンストップ制度が使える人であっても、必ずワンストップを利用しなければならない決まりはありません。

ふるさと納税の深刻は、ワンストップ特例制度(該当する寄附のみ)・確定申告のどちらでも申告できます。

5自治体以上に寄附してしまったとき、6個目以上は確定申告が必要です。つまり人によっては結果的に双方申告するケースもあるのです(これは推奨ではありません。5自治体以上はまとめて確定申告しましょう)。

要は、他の申告の必要性や還付方法、締切期限など「どちらが自分に向いているのか」を総合的に考えて判断してOKなのです。

しかし、こんな人は確定申告がベター

ワンストップ特例制度も、確定申告も戻ってくる数字はほぼ同等。しかし、これには「一部例外」があります。

それは「自己負担2,000円を超えた(=上限額を超えた)寄附」のケースです。

まず、確定申告における控除額の計算式をご覧ください。

  • A 所得税:(ふるさと納税額-自己負担2,000円)× 所得税率 ※総所得金額等の40%が上限
  • B 住民税基礎控除:(ふるさと納税額 -自己負担 2,000円)× 10% ※総所得金額等の30%が上限
  • C 住民税特別控除:(ふるさと納税額 - 自己負担2,000円)×(1-10%-所得税率)※住民税所得割額の20%が上限

このように確定申告は、寄附額に対し「所得税」「住民税」を個別に計算します。

しかし、所得税を直接現金で還付しないワンストップ特例制度は、Aの計算式(所得税に関わる部分)は使いません。

その代わりに

 D 住民税寄附金控除(申告特例控除分): C × 所得税率 ÷(1 - 10% - 所得税率)

という別の計算式を用います。

 

確定申告は「A+B+C」、ワンストップは「B+C+D」で計算し控除額が決定します。

このDという数式、ややこしいのですが基本的には「Aとほぼイコール」になります。しかし上限を超えた寄附をすることで「A>D」になります。

この「A=D」が「A>D」になる現象は実際に計算すると良くわかります。下の条件を当てはめて試算してみましょう。

  1. ふるさと納税額:20万円
  2. 所得税率:20.42%
  3. 住民税所得割:55万円

この人の減税分を計算した場合、

A:(20万円−2,000円)×20.42%=40,430円

B:(20万円−2,000円)×10%=19,800円

C:(20万円−2,000円)×(100%−10%—20.42%)=137,760円
※特例控除の上限(55万円×20%=11万円)を超えたので控除は11万円

D:11万円×20.42%)÷(100%−10%−20.42%)=32,280円

AからDそれぞれの金額が算出されました。

これをA+B+C、B+C+Dの形式どおりに足すと、このような結果になります。

確定申告で受けられる控除額(A+B+C):170,230円

ワンストップ特例制度で受けられる控除額(B+C+D):162,600円

差額7,630円!

納税した金額すべてが計算式に含まれるのがAの計算式ですが、それに対しDの計算式は「上限額で切られたC」が影響するためスライドして控除額が下がります。

つまり、AではなくDを使うワンストップ特例制度では「上限額を超えていないこと」が大前提となるのです。

 

もし、1年の寄附金額が上限額を超えているならワンストップ特例制度を利用しないほうが得策です。逆にいうなら、ワンストップが使いたいなら上限額を超えない寄附額に留めるのがもっとも無難です。

申請時期になって大慌てをしないように、自治体数だけでなく「総寄附金額」もしっかり管理しておきましょう。

ふるさと納税のワンストップ特例制度の申請を忘れてて期限に間に合わない!そんな時はどうなる?どうすればいい?

放置はダメ!必ず手続きを

ふるさと納税をしたものの、ワンストップの申請を行わなかった場合はどうなるのでしょうか。

その答えは「確定申告を行う」となります。

忘れたからといってそのまま何もしなければ、控除の恩恵を受けることはできません。自治体から「申請がまだですよ!」と催促されることももちろんありません。

ワンストップ特例制度を利用する時は、必ず締切日(翌年1月10日)までに到着するように書類を投函しましょう。

 

さらに確定申告の締切(寄附した年の翌年3月15日以降)を過ぎてしまった場合は5年以内であれば確定申告で還付を受けることができます。

ワンストップ特例制度・確定申告いずれの方法でも納税先が発行した領収書が必要です。領収書は紛失しないように大切に保管しておいてくださいね。

最後に

「ワンストップ特例制度」は確定申告不要で控除が受けられる便利な制度です。しかし、「特例制度が使えるのは5自治体まで」「上限額を超えていると損するかも」という大きな弱点がありました。

しかしテレビや雑誌で流れてくる情報は、もっぱら「納税を促すようなもの」や「返礼品の質」に関するものばかり。寄附者側が受ける可能性がある「デメリット」に関する情報はほとんど流れてきません。

今回お伝えしたとおり、ワンストップ特例制度はメリットばかりではありません。

これからふるさと納税をしようと考えている人・今年初めてふるさと納税をした人は、最後にもう一度、ご自身が「ワンストップ特例制度に適しているのか」を確認してみてくださいね。