今回は、職場の先輩から教えてもらった「ちょっぴりレアなお宿」の宿泊レビューをお届けします。

筆者の旅行ジャンルが「城・ダム・博物館めぐり」が続き、その立地の兼ね合いから宿泊先が「国民宿舎」や「観光ホテル」に偏っていることに気づきました。

ありがたくもこちらのサイトで「宿のレビュー記事」を書く機会を得たのに、「趣味の押しつけ」になってはいけません。ちょっと反省しまして、今回は「人から教えてもらった宿」に出向いてみることにしました。

今回の宿を教えてくれたのは、旅をこよなく愛する筆者の職場の先輩。先輩はフランスへ1人で出かけたり、愛車を駆って秘境の宿に泊まったりとその行動力と企画力については「筆者の師匠」のような存在です(仕事でも頼りにしてます)。

和歌山県橋本市の温泉「お水のお宿このの」

そんな旅のプロである先輩が紹介してくれたのは、「お水のお宿このの」という宿泊施設です。

「このの」という名前を聞いた瞬間、フレンドリーなキャラクター「こののちゃん」でもいるのかとイメージしたのですが、所在地である和歌山県橋本市神野々町(こののちょう)が名前の由来のようですね。

橋本市は、少し前に人気を博したNHK大河ドラマ「真田丸」で真田幸村(堺正人さん)の蟄居の場所(九度山)ということで、ドラマの放送中は大勢のドラマファンが詰め掛けました。最近は客足も落ち着きいつもののんびりとした橋本市に戻っているようです。

 

「“このの”は、どんなホテルですか?」と先輩に聞いてみたところ

  • 温泉はホテルより外湯がいい
  • ご飯はイタリアンがおいしい
  • 魚が珍しい形で展示されていてびっくりした
  • 温泉の受付の風景はびっくりした

あえて多くを語らないのが優しさなのか、若干自由すぎる説明をしてくださいました。

ご飯がおいしくて温泉は外湯を勧められていること以外は「?」なまま、「先輩が言うのだから良いに違いない」と、早速宿泊予約をとることにしました。

こののは予約3カ月まち!人気の宿であることが判明

さっそく自宅に戻ってからお宿に電話。

電話口に出た男性スタッフによると、予約が取れるのは一番早くて3カ月後・・。しかも空いていたのもたまたまで、この機会を逃したらもっと先まで空きがないと言われる始末。

筆者、これまで宿をとるのに苦労したことがありません。多少困惑したもののスケジュール的にもOKなシーズンのため、奇跡的に開いていた日で予約をとりました。

「お水のお宿このの」が人気の理由

長々引っ張るのも好きじゃないので、早速「お水のお宿このの」の正体について迫っていきます。

「お水のお宿このの」は、名前からもお察しのとおりこの地に湧きだした「水」で有名な宿です。

水が有名なところには「〇〇山系のおいしい水を使った地元産ワイン」とか「地元の名水で育った野菜」など「飲む水」を売りにしているところもあれば、温泉水が有名なところもありますよね。

「このの」は温泉水も、飲料水どちらも主役です。「このの」の水は「楽天」とか「ヤフー」とかでペットボトル入りの飲用水が大々的に販売されています。しかもかなり熱烈なファンがいる様子・・・。

宿の歴史を調べてみると、初めは湯治場として温泉施設が設立されました。その後増えに増えたファンや、遠方から来た人のための宿泊先として「お水の宿このの」が設立されました。

水が先に有名になって、クチコミがひろがり、さらに宿泊施設までできてしまったと考えれば、たしかにレアな宿なのかもしれませんね。

 

筆者、教えてもらうまでまったくこの宿の存在は知りませんでした。

なぜなら、大手旅行サイト「じゃらん」でさえ予約を受け付けていないから。じゃらんで「和歌山県橋本市のホテル」と詳細検索してもいっさい検出されません(「このの」と検索すれば、施設情報だけが出てきます)。

間口を広げて集客していないのに、3カ月も待つなんて。これは「純粋に水のため」に来ている人多い証拠ですよね。

「このの」の水ってどんな水?

「このの」の水は、巷では「神秘の水」と呼ばれています。

ホテルに置かれていた広報誌によりますと、水脈がないといわれた地でありながら「弘法大師のお告げで温泉を掘り当てた」という、ありがたいいわれのある高野山脈のお水なんだとか。

敷地内で掘り出された水源は全部で3つ。

  • 金水:昭和62年に湧き出した無菌の地下水
  • 銀水:平成2年に地下1187mから湧き出した温泉水
  • 銅水:平成8年に湧き出した鉱泉水

3つそれぞれ特徴が異なるため、施設では各種絶妙なバランスでブレンドし温泉をはじめ化粧品への配合や飲料水として広範囲に利用しています。

また、敷地内の農園「ゆの里ファーム」ではこのお水で野菜を栽培しています。レストランで提供される野菜は神秘の水育ち。

ともかくお風呂から食事から化粧品まですべて「水」を使っているわけですから、一泊すれば体が「神秘の水」で満たされるはず!!

アラフォー筆者、最近とくに老化が気になります。この上は「神秘の水」の力をぜひお借りしたい・・・。すがるような気持ちで、訪ねてみました。

ここからは実際の水に触れた「お水のお宿このの」の施設レビューに移りましょう!

「このの」の温泉について

「このの」は温泉施設「天然温泉ゆの里」と宿泊施設「お水のお宿このの」2つの建物があります。

「天然温泉ゆの里」は4階建ての建物で、1階はフロントと「ゆの里カフェ」、2階が大浴場、3階は食事処、4階がリラクゼーションスペースと宴会場になっています。総合施設・スーパー銭湯といった感じですね。

となりのホテルに宿泊すると、お隣の温泉に無料で入ることができます(時間制限あり)。

 

「天然温泉ゆの里」には、「金水」と「銀水」2つの水が入ったお風呂が10種類もあります。

通信販売で売られているブレンドミネラルウォーターの名称は「月のしずく」といいます。お風呂の説明をみるといずれのお風呂も「月のしずく」で満たされているとか。ペットボトルの値段を踏まえると、そうとう贅沢なお風呂ということになります。

そんなお風呂の効果もたいへん気になるところですが、まず確認しなければならないのは先輩から聞かされた「びっくりする温泉の受付」の現場です。

びっくり①温泉の受付

まずは受付を見学に行こうと、大勢のお客さんを掻き分けながら受付に到着。

来ている人の多さもびっくりしたんですけど、それよりもびっくりなのは、どっさり詰まれている「ポリタンクの山」です。ホームセンターのキャンプ用品売り場のようでした。

ポリタンクには個人の名前が書いてあるので、売り物ではなく個人の持ち物です。どうやら入浴中のお客さんのポリタンクをフロントの横で一時預ってくれているようです。

受付の横は室内の水汲み場では、スタッフのみなさんが水をタンクにつめてお客さんに引き渡しています。

中には30ℓくらいの大型タンクをたくさん台車で運んでいる方の姿もあって、その姿にも、ビックリ!

びっくり②魚の水槽

受付の背後には大きな水槽がありました。これが先輩が言っていた「魚の珍しい展示」のようです。

一見なんてことない水槽ですが、よーく観察すると海水魚と淡水魚がいっしょに仲良く泳いでいるではないですか。

どうやらこの水槽、「このの」の水なら海水魚も熱帯魚も同居できる、というPRなのかもしれません。「特別な装置でもつけてるんじゃないのか?」と疑いの目を持った筆者は、海水魚も淡水魚も同居させる方法があるのか調べてみました。

 

結論。「同居させる方法はあるが、難しいらしい」ことが判明。

魚は体液の塩分濃度は海水魚も淡水魚も同じで、違うのは余計な塩分を排出する仕組み(エラからだすか尿で出すか)。同居させるためには科学的に作り出した「好適環境水」が必要なんだそうです。

「好適環境水」は岡山理大が開発した淡水・海水魚双方に適した濃度の「人工海水」です。それを使わずに飼育しているのであれば・・・「不思議な水」っていうのはウソではないということになります。

そもそも「このの」のお水に塩分は入ってませんので、塩分のない水の中で彼らは生きていることになりますしね。不思議です。

「天然温泉ゆの里」の温泉に入ってみました

海水魚も淡水魚も元気に飼育される「このの」の水。温泉に入ったらどんなことになるのか、ワクワクしながら温泉に入る筆者。

浴場内には、ジャグジー、露天風呂、大浴場、ミストサウナ、サウナがありました。混雑の中、ジャグジーが比較的空いていたので20分ほど頑張って浸かりました。

無色透明のぬるめのお湯からはミネラル感・鉱物感は感じられません。ラドン温泉のような「放射線」系に近いのかな?と思いましたが、ラドン温泉のようにじわじわ汗が流れてくるほどの強烈な効果もなく、お湯の温度で温まったという感じですね。

正直なところ、「いまいち効果がよくわからない」のが筆者の感想です。

休日に訪れたこともあり、ロッカールームも浴場内も子どもからお年寄りまで大勢の人で賑わっており、地元の人に愛されている雰囲気がよーく伝わってきました。

ミストサウナが気持ちいいです。心なしか、ミストサウナで肌がしっとりしたような。

あと、備え付けのオリジナルシャンプーとリンスは香りも質感も良い!です。環境に配慮した石けん素地のシャンプーなんですけど、ドライヤーで乾かしただけでサラサラなのにしっかり落ち着きました。(館内で販売されています)。

「お水のお宿」のお風呂

先輩は「ホテルの温泉より外(ゆの里)の温泉の方がいい」と言いましたが、筆者的にはホテルのお湯の方が良かったです。

月・星・花ときれいな名前がついた温泉は、少人数しか入れない小さなお風呂です(たぶん、この辺りを先輩は言ったのだと思われます)。

月と星は、それぞれ2つ浴槽があって、「金水と銀水」のミックス温泉。もうひとつはここだけでしか入れない「銅水」が加わった特別なブレンドの温泉です。

入ってくらべてみましたが、銅水が入っているほうがなんとなく「しっかりした心地のお湯」のような気がしました。なにより1人でゆっくり喧騒を感じずに入れたのも効いたのでしょう。

最後の「花」は別途料金がかかる個人利用のお風呂(時間制限あり)。こちらも3種類ブレンドのお湯だそうです。

「お水のお宿このの」の料理

イタリアンが美味しいときいたので、夕食の予約はホテル1階のイタリアン「ラ・フォンテ」でいただきました。

こちらのお店で出されるお料理にも、ふんだんにブレンド水「月のしずく」が使われています。また、併設された「ゆの里ファーム」の無農薬野菜が使われています。

こののは「美肌薬膳」なる料理方を取り入れているのだとか。薬膳教室も開催されていることから、水だけに留まらず、食の健康に対する取り組みも積極的に行っているようです。

健康を基本としたお料理が食べられることは、ミドルエイジの筆者には嬉しい限りです。

 

味は日本人の味覚に合わせたイタリアン。センスのよい器に盛り付けた料理は彩りがたいへん美しいです。

イタリアンは食べているとだんだん飽きがきたり、お店によっては舌が重くなってくる筆者ですが、最後まで美味しく食べられました。

調味料に頼らない料理は、実際いくらでも食べられます。化学調味料を一切使っていないお料理は、胃が頑張らなくても自然に吸収されるからだと思います。

唯一心配していたのが「アルコール」。水や健康を売り?にしているお宿ですから「ビール飲まずに水を飲んでください」といわれやしないかビクビクしていましたが、そんなことはありませんでした。

「お水のお宿このの」の客室

宿泊した客室はツインルームで、ビジネスホテルのツインルームくらいのスペースです。

この施設は18室しかお部屋がないため、館内はプチホテル独特の静かで素朴な雰囲気が漂っています。

お部屋はプロヴァンス風のナチュラルな色使いのインテリアで、お部屋のセンスも木のぬくもりが感じられます。窓からは高野山が見えますし、周辺は田園風景が目と心を癒してくれます。

冷蔵庫には「月のしずく」の500mlのペットボトル2本と金水が入った1ℓのボトルがサービスで入っています。

【※ここからは「水」を知らない人向けの描写になりますので、読みたくない人は読み飛ばしてください。】

温泉施設の風景からお部屋にも「水」に関する小冊子が置いてあるんじゃないか・・・と筆者は勝手に想像していたのですが、施設の広報誌が1冊置かれているだけ。

客室に案内してくださったスタッフの方も、水を強くPRすることもなく「ゆの里」のような強烈なインパクトはまったくありませんでした。もちろんフロントの方も、商品はしっかり陳列しているけど「売り」に入ってきません。

筆者のように「水」の存在を知らずに来た人も快く受け入れていると感じました。

翌朝、満員の理由が判明!

翌日、チェックアウトのとき帰路につくお客さんでフロントが賑わっていました。なかなか順番が回ってこないため、ぼんやり人の動きを観察していますと・・・

チェックアウト後に次回の予約を取ろうとしているお客さんの会話を傍受!(立ち聞きしたんじゃないですよ)

筆者もビジネスホテルで翌週の予約をついでに取ったことがありますが、その方、どうみてもビジネスマンではなさそう。ということは、次の「湯治の予約」をとっているということですよね。

18室しかない貴重なお部屋をリピートする。こりゃーなかなか予約が取れないわけだわ、と納得しました

お土産にスプレーボトルを買ってみた!

今回は、残念ながらお水やお風呂の効果よりもイタリアンの美味しさの方が印象に残ってしまいました。

2回しか温泉に入っていないくせに「効果があまり感じられない」と活字にしてしまうのは、ライターとして・人として美しい姿ではありません。

商品化されている水のスプレー(商品名:神秘の水・夢)を買って、化粧水(ブースター)として使ってみることにしました。

 

結果。1本の化粧水で満足できない筆者が、1本まるまる知らないうちに使い切りました。

中年ゆらぎ肌はわがまま。わがままに合わせて化粧水をコロコロ変えるこらえ性のない筆者は、いつまで経ってもコレというものに出会えない「化粧品ジプシー」におちいっています。

そんな浮気性の筆者が、無意識に毎日使って使い切った事実はわれながら、ちょっとびっくりです。

使いきれたということは、その間肌の調子が一定だった(ゆらがなかった)証拠だからです。

詳細情報

ゆの里お水の宿このの

  • 住所:和歌山県橋本市神野々895
  • 電話番号:0736-32-7747
  • チェックイン:15:00
  • チェックアウト:10:00
  • クレジットカードの利用:可

利用できるクレジットカードの詳細については、施設に確認をお願いします。

注意したいのは、「ゆの里」のお風呂は営業時間。朝10時からなので、朝食前のお風呂として入ることはできません

朝風呂に入りたいときは、6時30分から入れるホテルのお風呂を利用しましょう。

アメニティ

  • 浴衣
  • スリッパ
  • ハンドタオル・バスタオル
  • 歯ブラシ
  • 冷蔵庫
  • 電気ポット
  • テレビ

髭剃りや化粧水などのアメニティはありませんので、準備していきましょう。

アクセス

マイカーでアクセスする場合

  • 大阪方面から:阪和自動車道「美原北IC」から309号線→170号線→371号線
  • 神戸方面から:阪神高速湾岸線「助松JCT」から堺泉北道路 →170号線→371号線
  • 奈良方面から:西名阪自動車道「郡山IC/法隆寺IC」から24号線

公共交通機関でアクセスする場合

南海「なんば駅」より南海高野線「橋本駅」(約50分)無料送迎バスがあります。

施設は比較的交通量のある「街と里山の間」にあります。近隣にはドラッグストアやコンビニもありますので、不便を感じることはありません。

施設から高野山までは車で1時間くらいです。高野山までのルートは道が険しいため、時間にゆとりをもってお出かけください。

「ゆの里お水の宿このの」まとめ

今回先輩に紹介をお願いしたレアなお宿、「お水のお宿このの」は、なかなか予約が取れないこと・広く集客されていないことではたしかに「レア」でした。教えてもらわない限り、存在を知らないままだったと思います。

筆者はこれまで宿泊施設を選ぶとき、「観光目的地へのアクセス面」や「行きたいエリア」を中心にチョイスし、「この宿に泊まりたいからそこへ向かって出かける」という概念はありませんでした。

しかしフロントで「この宿に泊まりたい!」という気持ちを持っておられる方の姿を偶然目にし「私もお気に入りの宿を持ちたい」と願うようになりました。

お気に入りの宿は、一度で見つかる場合もあれば、何度も通って魅力を見つける場合もあるでしょう。

「お水のお宿このの」の水の力は、まだ筆者にはわかりません。しかし「宿探しの新しい概念」を教えてくれたこの宿には非常に感謝しています。

なによりイタリアンの美味しさは格別です。遠からず、再訪することになるでしょう。

 

旅行が趣味で「節約はすべて旅行のため」と考える兼業ライター。旅行で貯めたポイントは生活消耗品代に使っています。最近は地理の奥深さに目覚め、「地理検定」を取得しようとヒマさえあれば日本地図とにらめっこ。わかりやすく・楽しい記事がお届けできるよう、頑張りますのでよろしくお願いいたします!