「時差ボケ」とは、時間差がある国へ渡航したときに起きる「心身の不調」のことをいいます。

大型連休明けなど、会社で「時差ボケで頭が働かない」とボヤいてる人いませんか?

その人は、時差が大きい国=かなり遠い国へ行ったから時差ボケにかかってしまったのです。

「海外旅行に行った自慢ですか~??」と冷やかしたくなりますが実はこの「時差ボケ」、冗談で済まないほど辛いんです・・・。

ところで、どうして海外に行くと「時差ボケ」になるのでしょうか?

時差は単なる「時間の差」なのに、本当に「ボケる」ほどの強烈な影響を人体に与えるのでしょうか。

まだまだナゾが多い「時差ボケ」は、起きるメカニズムを知ることがなによりも大切です。

今回は、時差ボケの症状から予防策まで一気に迫りたいと思います。

なんで時差ボケになるのか?その原因とメカニズムとは?

私たち人間は「暗くなれば夜・明るくなれば朝」のように、意識しなくても「時の移ろい」を体で感じて生活をしています。

夜暗くなると努力しなくても自然に眠くなりますよね。これが人間の体に備わったいわゆる「体内時計」(内因性リズム)です。

また、商店街のシャッターが下る音がすれば夜、鳥の鳴き声を聴けば朝であると認識しますよね。そんな「周囲の環境」も、私たちの体内時計に影響を与えています(外因性リズム)

このように体にリズムが刻み付けられた人が時差のある場所へ移動したらどうなるでしょう。

今朝自宅で届いたばかりの朝刊に目を通し「朝」であることを認識したはずのに、渡航先では(自分意にとっての)二度目の「朝」を迎える。

自分の体はすでに夕方なのに、周囲にはすがすがしい朝の空気が漂い、人からは「おはようございます」と声をかけられる。

自分の体は「夕方」なのに現地は「朝」。夜なのに眠れない・朝なのに目が覚めない。このような自分の体と現地時間の間にある大きな「ズレ」、これがいわゆる「時差ボケ」の原因です。

時差ボケはどんな症状がでてくる?いつ頃発症する?

渡航先に滞在中、時差ボケ状態(自分の体内時計とズレた状態)で生活を続けていると、身体に以下のような変調が起りはじめます。

  • 昼夜逆転
  • 睡眠不足
  • 胃腸障害
  • 疲労
  • 頭痛

まずいちばんに現れやすいのは「昼夜逆転」です。

体が朝だと認識している状態では、夜になってもなかなか寝ることができません。ベッドに入ってもまったく寝付けず、その結果睡眠不足状態になります。

そして睡眠時間をズレたままにしておくと、食欲の湧く時間もズレます。食事の時間がズレてしまうと、今まで規則正しい「お通じ」があった人も、スッキリとはいかなくなり胃腸障害へと発展します。

睡眠不足に食欲不振、そこに便秘が重なる・・・。このように考えただけでも「時差ボケ」が人にとって辛い症状であることが想像できますよね。

時差ボケが発症する時期は人それぞれ

時差ボケが発症する時期に明確な目安はありません。

眠れない夜を過ごし、到着翌日の時点で不快症状が現れる人もいます。また、食事のリズムが崩れ数日後に胃腸障害を起こす人もいるでしょう。

数日間滞在したのち、忘れたころに不調を感じる人もいるようです。

時差ボケはいつまで続く?

時差ボケが治るのは「1週間前後」と言われています。

時差ボケは、徐々に現地の時間に体内時計がなじみズレが修正されることで症状が収まります。

環境と体内時計がかみ合って初めて人間は「生活リズム」を取り戻しますから、昼夜が逆転したままでは、眠りの質が低下して効率的な疲労回復が望めません。

睡眠不足に頭痛や疲労感、そんな状態が長く続くとビジネスマンの場合は集中力も低下して思わぬミスも起こしがちです。

「いつになったら時差ボケが治るの?」そうボヤきたくなるのも当然。体のどこも悪くないのに起きる時差ボケの不調、できれば早く収まってほしいですよね。

時差ボケ解消には時差1時間に対し〇日かかる

時差ボケを完璧に直すのに必要な時間は「時差1時間に対し1日」という説が存在しています。

この説では時差8時間の場合は8日間もかかるということになり、人の体内時計の調整をするのは簡単ではないことがわかります。

そのため2、3日の短期滞在であれば無理してリズムを変えようとせず、日本と同じ生活リズムをキープするほうが時差ボケの影響が少ないとも言われています。

時差ボケになる人とならない人の違いとは?

まず、時差ボケになる・ならないには個人差もあれば地域差があり、年齢が若く、体力がある人のほうが時差ボケは早く解消されます。

高齢者の場合は加齢により自律神経の調整が低下しているため、若い人よりも重症化しやすく治りにくいのです。

また、神経質な人ほど時差ボケになりやすいとも言われています。

環境の変化を敏感に感じてしまう人ほど、時差ボケに対する反応が早く重症化しやすいためです。

東回り・西回りで異なる時差ボケ具合

また、日本から西の国に行った人よりも、東の国に移動した人のほうが時差ボケの症状が現れやすい傾向があります。

これは西の国は1日の長さが長く(リズムが合わせやすい)、東は1日の長さが日本よりも短い(リズムが合わせにくい)のが主な原因です。

時差ボケになったらどうすれば治せる?薬とかあるの?

結論からいいますと、時差ボケの解消法は「現地の時間に体内時計を合わせる」ことしかありません。

長年生きてきた日本で作られた体内時計は次のような方法で現地時間に合わせることができます。

  • 太陽光を浴びて体内時計をリセットする
  • 現地時間で食事を摂る
  • 現地時間で睡眠をとる

規則正しい生活を送るためには、まず体内時計のリセットが必要です。

体内時計のリセットには、「太陽の光」がもっとも有効です。

太陽を浴びて体内時計をリセットする

私たちに「朝だ」と認識させてくれるもの、それは「太陽の光」。太陽の光を浴びることで、体が活性化し活動的になります。

現地に到着したときが日中なら、たとえ体内時計が「深夜」であっても太陽光の下で活動を続けましょう。

みなさんは体内で分泌される「メラトニン」という物質をご存知ですか?

「メラトニン」は眠りを誘うホルモンで、太陽光を浴びると分泌を停止する特徴があり、メラトニンの分泌が停止すると人の体は自然に目覚め「活動状態」に変わります。

実はこの「メラトニン」、目覚めてから14時間から16時間くらいするとふたたび分泌を始めて人を眠りへと誘導します。

現地では太陽の出ている時間にしっかり活動し、メラトニンを正しいタイミングで分泌させることが時差ボケによる睡眠障害の有効な治療法となるのです。

現地時間で食事を摂る

時差ボケの症状でつらい症状の中には「食欲不振」や「胃腸障害」があります。

いつもと違う時間に食事を摂るのは気分のよいものではありませんが、現地では必然的に現地の時間に食事を摂ることになります。

そんな「食べたくなくても食べなくてはならない食事」がいつまで続くのか、考えただけでも辛いですよね。

かし、「現地時間にあわせた食事」はしばらく続けることで時差ボケが徐々に治ってきます。

胃腸が現地時間になじめば睡眠の足並みも揃い(おなかがいっぱいになれば眠くなりますよね)、睡眠不足と胃腸障害は日に日に緩和されていきます。

なじむまでの間は胃腸も「本格稼動」していませんから、負担の少ない消化のよい食事を心がけて下さいね。

現地時間で睡眠をとる

夜に現地に到着したときは、眠い・眠くないに関わらず「寝る」体勢に入りましょう。

日本時間が朝や昼なら、到着直後のあなたの体は当然「活動状態」に入っています。(さきほど述べた、「メラトニン」の分泌が停止している状態ですね。)

目が冴えているので、ホテルについても活動したいところですが、活動は明日の朝(現地の朝)に回し、とにかく部屋を暗くして「寝る努力」をしてください。

逆に、朝現地に到着した場合は太陽とともに活動しつづけるのが理想です。

しかしそれでは日本を出発してから「不眠不休状態」になってしまい、疲労回復ができません。眠くてたまらないときは短時間の仮眠をとりましょう。

あまり長く寝てしまうと、夜(現地時間)になっても眠くならず、体内時計はズレたままになってしまいますので、3時間以上寝ることは避けましょう。

時差ボケに効く薬?

時差ボケ自体に効くお薬はありませんが、時差ボケによる睡眠障害に対する薬(一時的に服用する「睡眠改善薬」)なら日本の薬局で購入できます。

睡眠改善剤はその名のとおり、睡眠状態を改善するお薬。なかなか寝付けないとき、睡眠不足で体力が落ちているとき薬の効果によってスムーズに睡眠状態に入ることができます。

ちなみに「睡眠改善薬」は一時的な不眠に対するお薬であり、慢性的な不眠に対して医師が処方する「睡眠導入剤」とは異なり依存性もありません。

心地よい眠りは、胃腸の調子も整えます。「もう限界」と感じる前に「睡眠改善薬」の力を借りることも検討してみてください。

時差ボケは予防できる!対策方法まとめ

時差ボケは、いきなり朝と夜が逆転することで人体に起こる不快症状です。

その不快症状は事前に準備することである程度予防することができます。

まるでタイムスリップしたかのように「時間が違う場所に放り込まれたときのショック」を最低限にするためには

  • 出発前から体を現地時間に近づける
  • 到着時間に合わせて、機内の過ごし方を変える

このような「事前準備」を行って、体内時計を少しずつ変化させる「下準備」をしておきましょう。

出発前から体を現地時間に近づける

時差ボケの確実な予防策は、「出発前から体を現地時間に近づける」ことです。

日本よりも早く朝を迎える東の国に行く場合は、時差に近づくように早めの起床・早めの食事・早めの就寝にシフトしておきましょう。

逆に日本より夜が来るのが遅い西の国に行く場合は、遅めの起床・遅めの食事・遅めの就寝にシフトします。

こうすることで、眠りのリズムと食事のリズムが早めor遅めに慣れ、現地での生活の急激な変化を緩和することができます。

到着時間に合わせて、機内の過ごし方を変える

もっと簡単な方法では、「到着時間に合わせて機内の過ごし方を変える」ことが挙げられます。

朝到着する便に乗る場合は、飛行機の中ではしっかりと寝て過ごし現地で「朝」を迎えましょう。

逆に夜到着する便に乗る場合は、ホテルでスムーズに眠りにつけるよう機内では起きて過ごしましょう。

このように機内の過ごし方を工夫することによって、体も自然に現地の時間に馴染みます。

時差ボケの予防は、「眠いのに1日仕事をしなければならない」とか「眠くないのに寝なければならない(結局眠れない)」という無理をする状態を避けることが大切です。

時差ボケになりやすい国となりにくい国ってある?

「時差ボケ」を感じやすい国は、「飛行機で5時間以上離れた場所に位置する国」です。

経度が変わらない国についてはどれだけ移動しても時差ボケは起こりませんが、東西に向けて移動する国については時差ボケを覚悟しなければなりません。

では、どのエリアがもっとも時差ボケしやすいのか、エリアごとの時差をもとに確認してみましょう。

アメリカ・カナダ方面

国名 日本との時差
ハワイ -19時間
西海岸(サンフランシスコ・ロサンゼルス) -17時間
東海岸(ニューヨーク・アトランタ) -14時間
バンクーバー -14時間
オタワ・トロント -17時間

日本時間の方が10時間以上早く進むため、日本がお昼0時のときハワイは1日前の17時を迎えます。-19時間という大きすぎる時差のせいで、まさに「1周回った」感じですよね。

カレンダーは1日ズレますがどちらも活動タイムであることに変わりありませんので、時差ボケの度合いは人それぞれといったところでしょう。

ヨーロッパ方面

 国名  日本との時差
イギリス・アイルランド・ポルトガル -9時間
ドイツ・イタリア・フランス・スイス -8時間
トルコ・ギリシャ・フィンランド -7時間
ロシア -6時間

お次は観光旅行で人気エリアのヨーロッパは日本の方が6時間から9時間早く、日本がお昼の0時のときイギリスが朝の4時、ロシアは朝の6時を迎えます。

ランチタイムを過ごしているときにイギリスは熟睡タイム、ロシアは夜明けを迎える時間ですね。

また、ヨーロッパは「西回り」になるため体内時計を「巻き戻す」ことになります。例えばイタリア到着が午後19時の場合、日本時間は深夜3時!

日本を離れたばかりの人にはものすごく眠い時間ですが、イタリアの「寝るに相応しい時間」が来るまではがんばって起きていましょう。

言うまでもなく、このエリアは時差ボケする確率が高いです。

アジア・オセアニア方面

国名 日本との時差
オーストラリア(1部除く) +1時間
ニュージーランド +3時間
シンガポール・バリ・中国・台湾 -1時間
タイ、ベトナム、カンボジア、ジャカルタ -2時間

東南アジアやオセアニアは、日本との間に大きな時差はありません。

もっとも時差のあるニュージーランドでも、日本が12時のとき現地は15時ですから時差ボケをすることはほぼないでしょう。(ビジネスマンなら、ランチタイムが15時にずれ込むなんてザラですもんね。)

ちなみに、おとなりの国韓国との間に時差はありません。

最後に

筆者は睡眠導入剤とはまったく無縁の「よく寝る人間」です。

これまで最も長時間のフライトはアメリカのサンフランシスコでしたが、機内食を1食食べなかったほど眠り続け、現地で時差ボケを感じることは一切ありませんでした。

サンフランシスコは東回りなので、機内でしっかり寝たことが時差ボケ予防に功を奏したのです。

旅行を趣味にしている人、これから趣味にしようとしている人は「上手な仮眠」のとりかたを身につけておくことも大切なのではないでしょうか。

旅行が趣味で「節約はすべて旅行のため」と考える兼業ライター。旅行で貯めたポイントは生活消耗品代に使っています。最近は地理の奥深さに目覚め、「地理検定」を取得しようとヒマさえあれば日本地図とにらめっこ。わかりやすく・楽しい記事がお届けできるよう、頑張りますのでよろしくお願いいたします!