節税しながら老後資金を形成する「iDeCo」は、非課税制度の恩恵をふんだんに受けられるスグレモノの制度です。

しかし、便利なiDeCoもただ黙ってお金を拠出しているだけではお金は戻ってきません。

iDeCoは所得税とは切っても切れない関係です。正しい所得税が決定する毎年のイベントである「年末調整」で申告しなければ控除の対象として認められません。そのためほったらかしにしてしまうとせっかくの還付金もムダになってしまいます。

年末調整と聞くと「いろいろ申告してもあんまり戻ってこないしなあ・・・めんどくさいからもういいや!」と考える人も実際多いです。でも、iDeCoでどれだけの金額が還付されるかを知れば、そんな気もなくなると思いますよ。

今回は、iDeCo加入すると年末調整でどれだけのお金が戻ってくるのかについて調べてみました。

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年収400万円の人がiDeCoで毎月1万円を積み立てたら還付金はいくら戻ってくる?

iDeCoで気になるのは「60歳までにいくら資金ができるのか」と「いくら節税ができて、いくらお金が返ってくるのか」です。

iDeCoで節税されたお金は(間接的に)節税効果が得られるだけでなく、現金として還付を受けることができます。そのもっとも簡単な方法が「年末調整」です。

「年末調整」とは?

年末調整(ねんまつちょうせい)とは、サラリーマンや公務員などの給与所得者に対して事業所等が支払った1年間(1月〜12月)の給料・賞与や賃金及び源泉徴収した所得税等について、原則として12月の最終支払日に再計算し所得税の過不足を精算する制度である(所得税法第190条〜193条)年末調整とは

年末調整とは、所得税額を正しく徴収するために年末に改めて再計算することです。再計算の結果「その年に払いすぎたお金」があればその分還付してもらえます(逆に不足分が差し引かれることもあります)。

そのためサラリーマンのみなさんの中には「12月の給与が楽しみ!」という人もいることでしょう。

iDeCoで拠出したお金は全額所得税控除の対象となりますから、この説明に違わず年末調整すればモレなく「還付金」が受け取れます。

還付金とは?

年末調整でいう「還付金」とは、支払い済みの所得税と所得控除が適用された本来支払うべき正しい所得税との「差額」です。

毎月給与から差し引かれている所得税や住民税は「先払い」ですから、年末調整の時点の状況によっては「払いすぎ」になったり逆に「不足」になったりすることがあります。

たとえばこれまで「子供2人を扶養していた人」は、子供2人分の扶養控除が適用されその分を見越した税金が徴収されています。しかしその年の途中子供が1人自立して扶養者が1人減ると、1人分の扶養控除枠に引き下げられることになります。この場合は年末調整に「足りない分」として徴収(還付金が少なくなる)されます。

iDeCoの還付金をシミュレーションしてみよう

前置きが長くなりましたが、さっそく「iDeCoは年末調整でいくら還付されるのか」をシミュレーションしてみましょう。

この項では、35歳会社員・Aさんを例にシミュレーションを進めていきます。Aさんの条件は以下のとおりです。

  • 既婚
  • 年収400万円
  • 16歳未満の子2人を扶養
  • 掛け金は毎月10,000円

所得税を安くするポイントは、給与から控除される対象の多さにかかっています。住宅ローン控除や保険控除などさまざまなものがありますよね。この控除が多いほど所得額が減って、その結果所得税が安くなります。

Aさんは子供2人を扶養しているのでAさんは、扶養控除の対象者です。扶養は人数も関係し、扶養している人が多ければ多いほど所得税が安くなります(6歳未満の子供の場合は、「子供手当」をもらっているので扶養控除の対象ではありません)。

今回Aさんが控除されるのは「扶養控除」と「iDeCo」の2つです。

これ以外にも

  • 基礎控除
  • 給与所得控除
  • 社会保険料控除

といった申告しなくても必然的に年末調整の対象となるものもあります。これらをすべてひっくるめて「控除される金額」が決定します。

さて、iDeCoで返ってくる還付金の金額ですが、上記すべてを含めて計算する必要があります

計算方法をお伝えするのが今回の目的ではないため割愛し、今回は便利な「シミュレーター」を使って算出いたします。

シミュレーターで還付金を計算してみました!

シミュレーターでは、まず計算する対象者(iDeCo加入者)の年齢を入力します。ここではAさんは30歳ですから「30」を入力します。

次に「扶養している子供の人数」を入力します。Aさんの子供は2人とも16歳未満なので「2」を入力します。ここで間違って欲しくないのは「配偶者」と「扶養」の違いです。子供については「扶養者」で、年齢によって入れる箇所が違うので注意しましょう。

また、Aさんの妻は扶養に入っておりませんので「扶養している配偶者」は無しに設定しています。

次に所得額を入力します。徴収票を見ながら「課税所得」を入力したほうがより正確ですが、手元にない場合は別枠に設けられた「年収」で計算することもできます。

次でiDeCoの毎月の掛け金をいれましょう。1万円拠出していますので、1万0千円と入力します。

自動計算された「節税効果」が表示されました。赤の太枠内がiDeCoに加入したとき・しなかったときの差額です。

還付金とは支払い済み所得税と、割引(所得控除)を適用した本来支払うべき所得税との差額でしたよね。

つまり赤枠内の合計欄が「払わなくてよかった分=還付金額」となります。

iDeCoに加入することにより、Aさんは所得税6,100円、住民税12,000円、合わせて18,100円節税できることになります(所得税=掛け金×5%・住民税=掛け金×10%)。

お金として戻ってくるのは所得税の部分

ここで1点注意しておきたいのは、住民税についてはお金で還付されないということです。住民税の「還付」とは来年度の住民税が安くなる(=手取りが増える)ことを指しますので覚えておいてくださいね。

また、この金額はあくまで「iDeCoに加入した/していない」を比較した数字なので、生命保険控除や地震保険・火災保険などに加入している人はこの金額の限りではありません。

気になる人はシミュレーターで試算しよう

シミュレーターはさまざまなサイトで展開されていますが、子供の数などより精密な計算ができるのはこちらのサイト。

所得税・住民税の減税額が細かく計算されるのでとても便利です。

他のサイトのシミュレーターは60歳まで通算した金額を表示するなど、比較的「ざっくりしたもの」が多いので、クレナビではこちらのシミュレーターを利用いたしました。

年収500万円の人がiDeCoで毎月2万円を積み立てたら還付金はいくら戻ってくる?

それでは少し条件を変えて、同じ30才会社員Bさんの別条件でシミュレーションしてみます。

  • 既婚
  • 年収500万円
  • 16歳未満の子1人を扶養
  • 掛け金は毎月2万円

Bさんの条件を入力したシミュレーションの結果はこちらです。

Aさんより100万円給与が高く、iDeCoへの拠出金が2倍のBさんは、iDeCoに加入すると年間48,500円も節税できました。

その結果、手元には24,500円が還付され、翌年の住民税はなんと24,000円(=1月2,000円)住民税が安くなります。

これだけの金額が返ってくるなら、年末調整はもはや「必須の作業」ということがわかりますね。

iDeCoは年末調整が絶対に必要?

AさんもBさんも、年末調整でたくさんのお金が還付されることがわかりました。しかし、iDeCoは申告しないかぎり還付されることはありません。

iDeCoには「事業主払い込み」と「個人払い込み」の2種類があり、加入している形態によっては申告不要のケースもあります。

  • 事業主払い込み:勤務する企業が給与から天引きして掛け金を国民年金連合会に納付(年末調整は不要)
  • 個人払い込み:本人名義の口座から直接連合会に納付(個人単位での年末調整は必要)

年末調整が不要なのは事業主払い込みの場合です。社会保険などといっしょに給与から天引きしてくれるので、企業が取りまとめて年末調整を行ってくれるからです。

しかし事業主払い込みの場合でも、iDeCoに加入した時期(加入した直後など)によっては事業者側の処理が間に合わない場合があります。そのようなときは個人で確定申告を行って還付してもらいましょう(確定申告については次の項で説明します)。

年末調整の手続きはややこしい?

これまで年末調整をしたことがある人であればiDeCo還付手続きはけして難しくありません。

サラリーマンとして企業に勤めていると、毎年10月末から11月にかけて勤務先から年末調整の書類が一式渡されると思います。

例年どおりその指示にしたがって書類を作成すればiDeCoの年末調整の手続きは完了します。

iDeCoで還付金を受ける手続きは、住宅ローン控除や生命保険控除、火災保険控除などいつもの年末調整の仲間に加えるだけでOKなのです

iDeCoの年末調整の具体的な流れは以下のとおりです。

  1. 10月頃:国民年金基金連合会が小規模企業共済等掛金払込証明書を送付
  2. 10月下旬~11月:勤務先が年末調整の書類を配布
  3. 書類に必要事項の記入と添付書類をまとめる
  4. 期限までに勤務先に提出

iDeCoの分は「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」の「小規模企業共済等掛金控除の個人型又は企業型年金加入者掛金」の欄に記入します。

これまで記入した生命保険などとは記入する欄が異なりますので、書き込む場所を間違えないよう注意しましょう。添付書類も、送られてきた証明書以外の書類も必要ありません。

手続きはけっして難しいものではありませんので、個人払い込みの人はかならず年末調整を行いましょう。

また還付金は12月か1月の給与と一緒に振り込まれますので、給与明細で金額を確認してくださいね!

年末調整の申告を忘れたら個人で確定申告すれば還付金もらえる

iDeCoに年末調整はいらないと思っていた人、知ってはいたけどつい忘れてしまったなど年末調整のタイミングを逃してしまう場合があります。

特に企業型を始めたばかりの人は注意が必要です。iDeCoを始めた時期(7月から8月に申し込みをして10月以降に拠出開始など)によっては、会社側が手続きに間に合わないケースがあります。

いずれの理由にせよ、iDeCoの年末調整を忘れてしまったときは「そのまま」にしておいてはいけません。そのままにしておくとお金は返ってきませんのでかならず確定申告を行いましょう

確定申告の方法とは

「確定申告」とは、1月1日から12月31日までの期間に発生した所得から「所得税」を計算して、税務署へ自己申告することをいいます。

会社を経営している個人事業主やフリーランスの人がするものを思われがちですが、企業に勤務する会社員でも申告が必要となる場合がありますので手続き方法をざっくりでもいいので覚えておくとよいでしょう。

ちなみに会社員でも

  • 副業をしている人
  • ふるさと納税をしている人(ワンストップ特例制度は除く)
  • 住宅ローンを組んだ1年目
  • セルフメディケーション税制・医療費控除の対象の人

このような人は確定申告が必要ですから、サラリーマンでもけっして無縁ではありません。

確定申告について

  • 申告期間:2月16日から3月15日の期間(iDeCoは1月4日から提出可)
  • 必要書類:源泉徴収票・確定申告書・還付申告の内容に応じて提出すべき添付書類の3種類
  • 提出方法:税務署へ持ち込みまたは郵送
  • 注意①:還付金を受け取るための金融機関口座が必要。※インターネット銀行は還付金受け取り口座に指定できない場合があります。

すでに広く告知されていることですが、確定申告に必要な書類はインターネットサイトからダウンロードでき、書類作成も同時に行えます。完成した種類は郵送でも提出できます。

そのため税務署に1度も出向かなくても確定申告は完了できます。

インターネット上には、初心者で使える確定申告ツールが数多く存在します。「こういうの苦手!」と避けてしまわないできっちりお金を取り戻しましょう。手間の大きさよりも返ってくるお金の方が確実に大きいです。

確定申告でお金が返るのは、申告してから1か月~1か月半後です。すこしでも早く還付してもらいたいときは、「e-Tax」などで電子申告すると通常よりすこし早く還付されます。

確定申告まで忘れてしまったらどうなる?

年末調整も確定申告も忘れてしまった!そんな場合はどうなるのでしょうか?今まで拠出したiDeCoはムダになってしまうのでしょうか?

確定申告は、過去5年までなら遡って申告することができますので5年以内に申告をすればお金は取り戻せます。

また、一部iDeCoだけを申告していなかった場合でも、ただちに「更正の請求(還付される税金を少なく申告していた場合)」を行えばその年の還付金としてお金を取り戻すことができます。

ただし、先に提出している書類の処理が行われている・還付処理が進んでしまっている場合は受理されない可能性があります。このようなケースは自己判断しないで、最寄の税務署に問い合わせましょう。

最後に

年末調整と確定申告は「その年に払い過ぎた税金を取り戻す」ための手続きです。

iDeCoは払い込んだ掛け金すべてが控除の対象になり、申告しないのは素晴らしきiDeCoの恩恵を半減させることになります。

iDeCoの申告モレは、還付金が返されないことだけが問題ではありません。住民税にも大きく影響しますので、結果翌年の住民税額が例年どおりになってしまいます。

年末調整と確定申告、どちらもちょっと面倒ですがけっして難しいものではありません。

とくに年末調整は勤務先に提出するだけなので、iDeCoは手続きが簡単な年末調整のタイミングで確実に申告してしまいましょう。

旅行が趣味で「節約はすべて旅行のため」と考える兼業ライター。旅行で貯めたポイントは生活消耗品代に使っています。最近は地理の奥深さに目覚め、「地理検定」を取得しようとヒマさえあれば日本地図とにらめっこ。わかりやすく・楽しい記事がお届けできるよう、頑張りますのでよろしくお願いいたします!