みなさんは「個人型確定拠出年金」という言葉をご存知ですか?別名「iDeCo」とも呼ばれています。

年金という単語がついているので「老後のお金」というイメージ浮かびますが、「具体的にどんな年金なのか」まではご存じない人も多いと思います。

iDeCoは個人で加入する年金ですから、自分が求めない限り説明してもらえる機会はほとんどありません。

今回は「iDeCoをまったく知らない人」に向け、個人型確定拠出年金「iDeCo」を分かりやすく解説いたいます。

 

iDeCoとは?年金って書いてあるからこれをすると年金をもらえるようになるの?老後保険みたいなもの?

iDeCoは「イデコ」と読みます。意味は英語の「 individual-type Defined Contribution pension plan」から由来しています。和訳すると「個人で加入する確定拠出年金」となります。iDeCoが始まる前は「DC」や「401K」と呼ばれていました。

iDeCo=確定拠出年金は「年金」という名称ですが、支払いは年金のように強制ではなく、個人単位で加入するか・しないかを自由に選択することができます。

自由加入でありながら、iDeCoの加入者は年々増加しつづけています。2015年には約6万人だった加入者が2017年の11月時点では5倍近い約29万7人にまで急増しました

たくさんの人が加入するのには共通する思いがありますそれは「年金だけでは老後が不安」という現代に生きる人の誰もが抱える思いです。その強い思いが29万人という大勢の人たちの加入につながりました。

では、iDecoに加入したらどのように老後の不安が軽減されるのでしょうか?それが今回の記事のもっとも重要なポイントとなります。

iDecoのしくみ

 iDeCoとは、簡単な言葉で表現すると「貯金よりもお得に、老後資金を自分で作る制度」です。

「貯金するよりもお得に」

この言葉は今回の記事のキーワードとなりますからよく覚えておいてくださいね。

iDecoは、毎月一定額を「掛け金」として拠出し金融商品を運用します増えたお金は60歳以降に「資産」として手元に戻ってきます。

同時に、いつも給与から差し引かれている多くの税金が節約(=節税)できます。なぜなら掛け金はすべて所得税控除の対象になるからです。簡単にいえば、iDeCoに加入するだけでかならず納める税金が少なくなるのです。

つまり「iDecoとは、節税しながら・お金が増やせるスグレモノの制度」というわけです。

iDecoの加入条件とは?

iDecoに加入したいけれど、「まだ学生だから」とか「パートだから」と思い込んで諦め勝てている人も大勢いらっしゃることと思います。

以前のiDeCOは公務員や主婦はiDeCoに加入することができませんでしたが、現在の制度では国民のほぼ全員が加入することができます。

  • 会社員
  • 公務員
  • 自営業者・フリーランス
  • 専業主婦(夫)
  • 学生

のいずれかの人で、

  • 企業型確定拠出年金未加入
  • 日本国内に居住している
  • 20歳~60歳未満
  • 国民年金を納付している

のすべてを満たす人

この条件を満たしているすべての人がiDeCoの加入対象者となります。

では逆にどんな人がiDeCoに加入できないかといいますと、

確定拠出年金制度には2種類あります。企業単位で加入する企業型に加入している人は基本的にはiDecoに加入できません(企業によっては許可しているところもあるそうです)。

さらにiDeCoは国民年金と併用する年金制度ですから、国民年金を支払っていない・国民年金の保険料納付を免除されている人もiDeCoに加入できません。

「iDeCoに加入すると年金をもらえるようになるの?老後保険みたいなもの?」

iDeCoは60歳になるまで掛け続け、60歳になったら受け取り手続きができます 。の点は一般的な「年金」とだいたい同じですね。

iDeCoは受け取り方が3種類あります。

  1. 一時金として一括で受け取る
  2. 年金として受け取る
  3. 一時金と年金を併用して受け取る

受け取り方にバリエーションがあるのは「年金」とは明らかに違います。

しかし、老後にまとまったお金を受け取るという意味では「60歳以降、年金に“上乗せ”されてもらえることから、まるで老後“保険”のようなもの」と答えることができます(厳密に言えば、保険商品ではありません…)。

現役時代に頑張って掛けたお金が運用によって大きくなって受け取れる。「年金だけでは足りない」という不安を払拭し、より豊かで安心した生活を送るため・・・と考えれば、ある意味iDeCoも「保険」みたいなものかもしれませんね。

iDeCoって銀行とか市役所とかで申し込みするの?銀行口座があればそれでいい?

iDecoを始めるには、積立口座を開設するためにiDeCoを取り扱っている証券会社・金融機関に申し込みをします。

すべての機関がiDeCoを取り扱っているわけではありませんので、あらかじめ調べておきましょう。

iDeCoを取り扱っている機関(運営管理機関といいます)は、ふだん取り引きをしていない機関でも構いません。ただし、あとで触れる「手数料・維持費」が大きく関わってきますので、できるだけ手数料の安い機関を選ぶことをおすすめします。

運営管理機関(金融機関など)に行けないときは?

窓口で相談しながら手続きするのが理想的ですが、働いているとなかなか訪ねることができません。そんなときはインターネットやコールセンターを利用して申し込み書類を送ってもらいましょう。

書類を入手できたら、あとは自宅で書類が作成できます。

わかりにくい点や気になる点がある人は、質問できるコールセンターのある金融機関がおすすめです。どこの金融機関を利用するのか、まだ決まっていない人は「イデコ公式サイト」が便利です。

申込み書類の発送に関しては、選択した運営管理機関に電話しましょう。インターネットから受付してもらえるところもあります。

iDeco加入に必要な書類はどれだけある?

申し込み書類が届いたらすぐに取りかかれるように、あらかじめ下記の書類を準備しておきましょう。

  1. 基礎年金番号・・・年金手帳や年金定期便などで確認可能です。
  2. 本人確認書類・・・運転免許証・健康保険証(住民票や印鑑証明などの写しを求められるケースもあります。)

このほか、働いている勤務体制によって必要となる書類があります。

  • 第1号被保険者(自営業)・第3号被保険者(専業主婦・主夫)・・・個人年金加入申出書と本人確認書類
  • 第2号被保険者(会社員)・・・勤務先が記入する「事業主の証明書」・個人年金加入申込書・本人確認書類

特別な書類は必要ありませんが、運営管理機関から求められた場合のみ住民票や印鑑証明を用意しましょう。

発送から受理まで数週間程度かかります。受理通知書を受け取ればいよいよ将来への積立が開始となります。

iDeCOを始めるのにお金は必要?

iDeCoを始めるためには、下記のような手数料がかかります。

  • 加入時手数料(口座移管手数料)・・・国民年金基金連合会に対する手数料。2,777円 最初の掛け金から拠出
  • 口座管理手数料(運営管理手数料)・・・専用口座の維持に対する手数料。毎月270円~378円(機関によって異なる)毎月の掛け金から拠出
  • 受取時手数料・・・給付金の受け取りの手数料。給付1回につき432円
  • 信託報酬・・・運用商品によって料率が異なる

すぐに必要な手数料、毎月必要な手数料、そして受取時に必要なお金の3種類あります。このような「手数料」や「維持費」がかかるのは一般的な年金との大きな違い。

手数料や維持費がかかるのはまちがいなくiDeCoのデメリットです。

これらの手数料は、運営管理機関によって差があります。機関の中には「運営管理手数料無料!」と謳っているところもあります。

申込みのときには、トータルでどれだけの手数料がかかるかしっかり比較することが大切です。

iDeCoってつまり投資ってこと?なんかリスクありそうで怖い…

ここまではiDecoの「良い話」をお話しました。しかしどんなものにも「弱点」があります。

「節税しながら老後に向けてお金を積み立てる」そんなiDeCoには弱点はあるのでしょうか?

せっかく加入したのに、「こんなはずじゃなかった!」なんてことにならないためにも、もう少しiDeCoについて掘り下げていきましょう。

はじめに「自分で貯金したほうが安全じゃないか?」と考える人のために、貯金とiDeCoの比較をしてみたいと思います。

銀行に貯金しても利子はほとんどつきません

老後のための資金、あなたはどのように蓄えていますか?銀行の定期預金に地道にためていますか?

最近の銀行は貯蓄してもお金は貯まりますが、金利はほとんど付かないため大幅に増やすことはできません。利子がガッポガッポついて困っちゃう!なんて時代は、バブル期以降訪れていません。

つまり、現代に生きる私たちは黙っていたらいつまでたっても資産を増やせないのです。株やFX・ビットコインなどの方法もありますが、これらは「すべての人」に向いているとはいえません。

そこで注目され始めたのがiDeCoの「投資」です。

「そもそも投資する余裕なんかない!」という人も、次に挙げるiDeCoのメリットをお読みください。

iDeCoのメリット

  1. 積立時、掛金の分は所得税と住民税から控除される
  2. 運用時、 運用で得た利益は非課税になる
  3. 受取時、 退職所得控除や公的年金等控除の対象となる一定額が非課税になる
  4. 月5,000円から加入できる
  5. 自己破産しても受給資格は残る
  6. 無駄遣いが減る

これを貯金や一般的な投資と戦わせるといかがでしょうか?上のメリットを逆転させるとイメージしやすくなります。

  • 高い税金をまるまる支払い続ける
  • 投資得た運用益は20%もの手数料が差し引かれる
  • 銀行の利子はごくわずか
  • 自己破産したらお金が自分のものでなくなる
  • 自分のペースで貯金できるが、反面簡単に引き出せてしまう

貯金をしたくてもぜんぜん手元にお金が残らない。その原因は「たくさんの税金が給与から差し引かれている」のも1つの原因です。この高い税金をどうやって抑えるか、いろんな方法を考えたことが誰しもあるはずです(ふるさと納税もその1つですね)。

勤労して貯金することは素晴らしいことです。とはいえ「高すぎる税金・安すぎる利子」は働く人にとって正当な扱いとは言えません

しかし国は「黙って我慢しなさい!」とは言っていません。iDeCoという誰もができる節税制度を世に与えているのですから。

iDeCoは、あなたが頑張って働いたお金を国に正当に扱ってもらうための方法でもあるのです。

iDecoは投資なの?

iDeCoは投資です。運用商品は定期預金・投資信託・保険の3種類のなかから選んで60歳になるまで運用します。

投資である以上、状況次第では受け取るお金が元本を下回る可能性もあります(もちろん上回ることの方が多いです)つまり、運用には自分自身の投資判断が求められるのです。

ただし、年間に投資できる金額には制限があります。年間投資額は最低14万4000円・最高で81万6000円ですから、株式投資などのように人生がひっくり返るような大損をすることはありません。

どうしても不安なら、定期預金や保険商品などの元本確保型商品を利用することもできます。運用に自信がない人はこのような運用商品を選ぶとよいでしょう。

40歳の会社員がiDeCoで毎月1万円を積み立てたら、60歳にはいくらもらえるの?

それではここからさっそく、普通に貯金した場合とiDeCoを利用した場合の金額の違いを比べてみましょう。

本項では「年収500万円・40歳会社員・未婚のAさんがiDeCoに加入し、毎月1万円積み立てるケース」と「iDeCoに未加入のケース」を比べてどれだけ差がでるのかをじっくりと比較していきます。

iDeCoに加入していない場合のAさんの税金事情

みなさんは、給与には「額面の給与」と「手取り給与」があることはご存知ですよね。「額面の給与」とは勤務先から提示されている給与のことで、税金が差し引かれ「手取り給与」となります。iDeCoはこの「差し引かれる税金」が少なくなるのが特徴です。

では、私たちの給与から差し引かれる「税金」にはどのようなものがあるのでしょうか。本題に入る前に確認しておくとさらに理解がしやすくなります。

1.基礎控除

基礎控除は給与から差し引かれる一定の金額で、2種類あります。

  • 所得税の基礎控除:38万円
  • 住民税の基礎控除:33万円

この2つが額面給与(500万円)から差し引かれます。

ここに妻や子などがいれば扶養控除がさらに差し引かれますので、既婚か未婚によっても基礎控除額は異なります。

独身のAさんは、所得税の基礎控除38万円と住民税33万円を差しひいた分が計算のベースとなります。

2.社会保険料控除

額面給与から差し引かれるものにはもう1つ「社会保険料控除」があります。控除の対象になるのは、健康保険・厚生年金・雇用保険・介護保険など(これらを合わせて社会保険と呼んでいます)、支払った全額が対象です。各保険には計算のモトになる税率があり、その合計が給与(500万円)の何%になるかで控除額が決定します。

この税率は1月~12月までに実際に支払った分で算出しますが、ここでは平均的な15.185%(厚生年金9.15%・健康保険4.95%・介護保険0.785%・雇用保険0.3%=15.185%)で計算します。Aさんは40歳なので介護保険料も計算に含んでいます。

500万円 ×15.185% =759,250円 ← 社会保険控除額

ここで算出された「社会保険控除額」は税金の対象になりませんので、500万円から差し引き今後の税金が決定します。

所得税を計算しよう

給与所得控除は会社員やパートやアルバイトなどの雇われている従業員が、一定の所得を得た場合控除対象となります

給与額 給与所得控除額
65万円以下 65万円
180万円以下  収入金額×40%
360万円以下  収入金額×30%+18万円
660万円以下 収入金額×20%+54万円 
1000万円以下  収入金額×10%+120万円
1000万円超え      220万円(上限)

年収500万円のAさんは、上の表の赤字部分の計算式で給与所得控除を計算します。

給与所得控除額:500万円 × 20% + 54万円= 154万円 ←控除額

つぎに基礎控除・所得税控除・社会保険料控除分を差し引いて、「課税所得額」が確定します。

500万円-(38万円+154万円+759,250円)=2,320,750円 ← ★所得税の対象になる金額

Aさんの給与500万円のうち、課税の対象になるのは2,320,750円となりました。これがこれからの計算のベースになります。

つぎの段階でこの課税所得金額にどれだけの税金が課せられるかを計算します。

Aさんの払う所得税は年間いくら?

Aさんのお給料のうち、所得税課税の対象金額はすでに算出されましたね。つぎは、実際にAさんが支払わねばならない「所得税」を計算します。

課税所得金額  税率  控除額
195万円以下  5% 0円
195万~330万円  10%    97,500円
330万~695万円 20% 427,500円
695万~900万円 23% 636,000円
900万~1800万円 33%   1,536,000円
1800万~4000万円 40%   2,796,000円
4000万円超 45%      4,796,000円

先ほど決定した「★課税所得額2,320,750万円」に表内赤字の税率を乗じればAさんの「納付する所得税額」となります。

★課税所得 2,320,750万円 × 10% - 97,500円 = 134,575円 ←1年間の所得税(国に支払うお金①)

ここで出た金額①が、国に支払われる1つ目の税金「所得税」です。毎月なんとなく天引きされていますが1年でこれだけ支払っているんですね。

つぎに住民税を計算しよう

続いて住民税です。

住民税も初めに所得税同様、ベースとなる金額を算出します。所得税と同じですが、基礎控除の金額が33万円になります。

500万円-(33万円+154万円+759,250円)=☆2,370,750円 ←住民税の対象になる金額

住民税も所得税同様に、住民税対象額に所定の計算式を当てはめて算出します。

住民税は、所得税のような累進税率ではなく「所得割」と「均等割」の2つの数字が関係します。

所得割の部分は基本全国一律で10%、そこに均等割5,000円が加算されたうえ調整控除として2,500円を差し引きます。(地域によって微妙に違うので詳しい金額を知りたい場合は地元自治体のホームページで確認してください。)

住民税は先ほど出した☆2,370,750円をベースに計算します。

☆2,370,750円 × 10% +均等割5000円 - 調整控除2500円 =239,575円 ←1年間の住民税(国に支払うお金②)

高いですよね、住民税!所得税だけで134,575円も引かれているのに、さらに239,575円も・・・!

年収500万円のAさんが支払うべき所得税・住民税の計算は、所得税と住民税を合計(①+②)します。

Aさんが払う税金額:134,575円 +239,575 円 = 374,150円 ←1年分の所得税と住民税

では。ここでまとめましょう。

年収500万円で独身の会社員Aさんの支払うべき税金は、374,150円です。

額面給与からそれを差し引くと、手取りとなるのは

Aさんの手取り給与:500万円-374,150円-759,250(社会保険料)=3,866,600円 ←手取り

額面給与は500万円なのに、税金が差し引かれると300万台になってしまいました!そりゃ「税金返せ!不倫・不祥事ばっか起こしやがって!」なんて政治家に文句のひとつも言いたくなるってもんです。

では、同条件で月1万円のイデコをはじめるとどのように変化するでしょうか。

年収500万円のAさんがiDeCoに加入したらどうなる?

iDeCoはかけた金額すべてが控除の対象となります。言葉にすると非常にアッサリと聞こえますが実際これはすごいことです。

言い換えると、「月額1万円をiDeCoに掛けると、Aさん(年収500万円会社員・未婚)は年間で12万円(1万円×12カ月)分所得控除が増える」ことになります。

ポイントは所得控除が増える、というところ。1年支払った12万円がどのような計算になるのかを見てみましょう。

「所得税・住民税」の計算を思い出してください。iDeCoはそれぞれに算出された「課税対象額」から掛け金12万円まるまるを「差し引く」ことができるのです。

iDeCoに加入したときの所得税と住民税

★所得税( 2,320,750円-120,000円)× 10% - 97,500円 = 122,575円 ←1年間の所得税(国に支払うお金①)

☆住民税(2,370,750円-120,000円)× 10% +均等割5000円 - 調整2500円 =227,575円 ←1年間の住民税(国に支払うお金②)

ここからは単純計算ですね、わざわざ計算しなくてもいいくらいですが、加入前は374,150円だったのが加入後は350,150円になります。

その結果、年間24,000円も税金が安くなりました!

これを同条件で60歳までの20年間掛け続けた場合、24,000×20年で480,000円もの節税ができます。

iDeCoのポイントは、住民税・所得税それぞれに加算して控除対象になるところです。まさにこれが「iDeCoの節税のすごさ」なのです。

減税額は年間24,000円!iDeCoの話はここからが本番!

ここまでボンヤリと読み進めて、「年間24,000円かあ、毎月1万円掛けるわりに微妙だなあ」なんて、思ってはいませんか?

iDeCoの特徴を思い出してください。iDeCoは「節税しながら投資の運用益を得られるスグレモノの制度」でしたよね。

これまでにお話したのはあくまで「節税」の部分。毎月拠出した1万円(年間12万円)が「運用」に使われることを忘れてはいけません。

運用に回したお金は金融商品の運用成績に関係なく、60歳になればあなたの元に戻ってきます。運用成績が良ければ、元金が増えて戻ります。

では運用したお金がどれだけ大きくなるのか、その可能性をシミュレーションで見てみましょう。

運用益はシミュレーションで確認しよう!

iDeCoで戻ってくるお金は掛け金として拠出したお金だけではありません。金融商品を「投資」として運用した利益=運用益が上乗せされて戻ってきます。

いったいどれだけ戻ってくるのか調べるには、運用管理機関が提供しているサイトにある「シミュレーションツール」の利用が便利です。あなたの年齢や勤務形態、掛け金の金額などを入力するだけで運用益を算出できます。

今回はAさんの条件(1ヶ月1万円・利回り3%)でシミュレーションしてみました。

1ヶ月1万円なら20年で240万円拠出することになりますので、図の積立元本には「240万円」と記載されていますよね。これを利回り3%で運用すると運用益は868,544円の計算になりました。

注目すべきは、ここでも節税のメリットが得られていること。本来ならこの運用益に20%分(176,444円)の税金差し引かれてしまいますが、iDeCoの運用益は非課税得た利益はまるまる運用益として手元に入ります。れもiDeCoの見逃せない大きなメリットです。

そもそも240万円の元本にたいして、運用益が868,544円乗ること自体がすでに普通の貯金には不可能な数字。仮に利回りを半分の1.5にしても、運用益は393,865円です。

いかがでしょう。銀行で貯金を続けてもこれだけの利子がつくことはまずありません。

iDeCoのメリットについて

それではここまでお話したiDecoについてまとめましょう。まずはiDeCoのメリットを順番におさらいしましょう。

1.確実に節税できる

働いていると給与から「所得税・住民税」を国に徴収されてしまいます。その金額は数万円単位で、サラリーマンにとっては手痛い存在です。

iDeCoは掛け金を拠出した分「所得税・住民税」が安くなります。iDeCoの最大のメリットは、何といっても「税金が安くなる」という優遇です。 

2.運用で得た利益も非課税

通常、投資信託で得た利益は約20%の税金が差し引かれますが、iDeCoで運用すると非課税です。つまり個人的に投資信託を購入するよりも断然お得です。

得た利益はそのまま引き続き運用に回せる、これがiDeCoの第2のメリットです。得た利益がさらに利益となり2重で資産を増やすことができます。

3.受取るときも非課税

さらに、運用した資産は受け取る時にも節税のメリットが発生します。

運用したお金は60~70歳(延長した場合)までに、「一時金」「年金」「一時金と年金の両方」の3つのいずれかの形式で受け取ります。その際どの形式でも税金非課税の優遇が受けられます。

一時金の形式で受け取っても「退職所得控除」対象となり、分割した年金形式で受け取るなら「公的年金等控除」の対象になります(ただし受け取る資産金額と勤務先の退職金を合わせた金額が退職所得控除より多くなってしまう場合については課税対象となります)。

掛けたお金が大きくなって、その額面どおり戻ってくる。それもiDeCoの第3のメリットです。

4.掛け金5,000円からスタートできる・無駄遣いが減る

「投資」と聞くと、まとまったお金が必要なイメージがもたれますが、iDeCoの掛け金は毎月5,000円から始めることができます。何気なく無駄遣いしているお小遣いをiDeCoに回すことで将来へのたしかな備えを築くことができます。

5.リスクが少ない

iDeCoで投資できる金融商品は、「どんな商品でもOK」ではありません。経験の少ない人が安心して運用できることを前提に「国」が選んだ商品だけ買い付けることができます。

そのため、「投資が初めて」とか「投資にチャレンジしてみたい」という人にもiDeCoはおすすめされる理由です。

iDeCoのデメリットについて

基本的なことを踏まえればデメリットが少ないiDeCoですが、やはり多少のデメリットがあります。加入する前にかならず理解しておくことが求められます。

1.60歳になるまで引き出せない

iDeCo最大のデメリットといわれているのが「60歳になるまでお金を引き出せない」こと。さらに途中で解約することも原則としてできません。

そのためiDeCoはマイホーム購入や教育資金など短期的な貯蓄には100%向かない投資です。iDeCoはあくまでも老後資金と割り切って、60歳になるまで貯め続けましょう。

2.口座維持費がかかる

DeCoでは口座開設時と維持している期間、それぞれに手数料が発生します。

加入時の手数料が2,777円とし、運営管理手数料が月額167円とした場合、40歳から60歳までの20年間、2777円+(167円×12カ月×20年40080円)で42,857円が必要となります。

このような手数料はけっしてあなどらず、手数料代を意識して運営管理機関を選びましょう。機関によってはキャンペーンなどで割安になるところもあります。

3.口座開設の手間がかかる

冒頭で触れたとおり、iDeCoを始めるには専用口座の開設が必要です。自力で資料を収集して自宅で申し込みもできますが、会社員の場合は勤務先に書類の記載をもとめるなど手間がかかります。

4.投資信託のスイッチングは自分で見極める

投資している金融商品の成績によっては別の金融商品に鞍替えしたくなる、そんなケースもまったくないとは限りません(基本的には安定した金融商品が厳選されています)。

スイッチングをする・しないは自分で判断しなければなりません。つまり、「60歳までほったらかし」にはできないんですね。投資とは長期的な視野が大切ですから、様子を見続けるという心の強さも少し必要です。

最後に

「お金が貯まらない」という悩みを解決するには、さまざまな方法があります。その中では「節約」がもっとも簡単な方法です。

人間は人生を楽しむ権利があります。節約のためのガマンはある程度必要ですが、度を過ぎるとやがてストレスになります。節約できるのは、ふところに残るお金だけではありません。iDeCoによって税金を節約する方法もあるのです。

iDeCoは、節税と運用の複合ワザで人生の蓄えが形成できる、国が推奨する財テクの1つです。1万円という掛け金が税を軽減し、なおかつ運用として使われるため「お金を何に使ったかわからない」という人でも確実に資産形成が行えます。

 お金がないことを認識するのは、今ではなく「老後」です。「何に使ったかもわからない」そんなお金が老後に大きく影響を及ぼします。安心な人生を送るためにもiDeCoに加入してみてはいかがでしょうか。